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採用ページに給与と勤務時間を載せただけでは、求職者は「自分がここで働く姿」を判断しにくいものです。

特に小規模クリニックでは、仕事内容、1日の流れ、教育体制、職場の雰囲気を具体的に伝えることが、応募前の不安を減らす第一歩になります。

この記事では、医療事務や看護職などに共通する採用情報の整理方法と、求人媒体から応募までの導線を紹介します。採用数を保証する方法ではなく、自院の働き方を誤解なく伝えるための考え方です。

クリニックの採用戦略は、入職後のギャップまで考える

採用戦略というと、求人媒体や掲載費を先に検討しがちです。しかし、誰に何を任せたいのかが曖昧なまま募集を広げても、求職者が仕事内容を判断できません。

私が関わっている千葉県の個人病院でも、人手不足に加え、採用後の定着に悩んでいるという相談がありました。一つの支援現場の話であり、医療機関全体に一般化はできません。それでも、採用と定着を切り離さない視点は必要だと感じています。

厚生労働省が2026年3月に公表した手引書では、看護補助者と医師事務作業補助者を主な対象に、募集、労働条件、育成までを一続きで扱っています。対象職種は限定されていますが、仕事内容や研修を入職前に伝える考え方は、クリニックの採用でも参考になります。

求人情報だけを整えても、実際の職場環境や教育体制と内容が違えば、入職後のギャップが生まれます。まず現場を確認し、伝える内容と実態をそろえるところから始めます。

人手不足への対応は、採用だけに絞る必要もありません。クリニックの人手不足で、採用と並行して整えたい業務導線もあわせて確認すると、今いるスタッフの負担を整理しやすくなります。

最初に「職種・任せる仕事・必要な時間帯」を絞る

最初に決めたいのは、理想の人物像よりも、院内で止まっている仕事です。「明るく協調性のある人」のような表現だけでは、採用後に任せる役割が見えてきません。

まず、次の4点を書き出します。

  1. 募集する職種
  2. 入職直後に任せる仕事
  3. 経験を積んだ後に任せる可能性がある仕事
  4. 人手が必要な曜日と時間帯

医療事務なら、「受付業務」だけで終わらせず、来院受付、会計、電話応対、書類整理などに分けます。看護職も、院内の役割分担を確認したうえで、実際に任せる業務を記載します。

複数職種を同時に募集する場合も、仕事内容を一つにまとめず、職種ごとにページや募集要項を分けます。

RYOZENPROでは、ホームページや動画を先に提案するのではなく、誰が何に困っているのかを確認することを大事にしています。採用でも同じです。媒体を選ぶ前に、現場で必要な役割を言葉にします。

求人票と採用ページの役割を分ける

求人票と採用ページには、それぞれ違う役割があります。

求人票では、業務内容、契約期間、就業場所、勤務時間、休日、賃金などの労働条件を正確に示します。厚生労働省の案内では、2024年4月から、業務と就業場所の変更範囲、有期契約を更新する場合の基準も募集時の明示事項に追加されています。募集情報は、掲載時点を示すなど、正確で最新の内容に保つ必要もあります。

採用ページでは、求人票の条件を補いながら、次の背景を伝えます。

  • クリニックが地域で担っている役割
  • 募集する理由
  • 実際の仕事内容と1日の流れ
  • 一緒に働く人と役割分担
  • 入職後の教育や相談先
  • 見学、応募、選考の流れ

採用ページに詳しく書いても、求人票の記載を省略できるわけではありません。判断に迷う場合は、労働局、ハローワーク、社会保険労務士などへ確認してください。

採用ページに載せたい7つの情報

採用ページは、きれいな写真を並べる前に、求職者が応募を判断するための情報をそろえます。次の7項目から確認します。

1. クリニックの方針と地域での役割

院長先生のあいさつだけでなく、どのような患者さまを支え、地域でどのような診療を担っているのかを書きます。

理念を抽象的な言葉で終わらせず、日々の診療やスタッフの行動とつなげます。求職者が、自分の考えと合う職場かを判断する材料になります。

2. 具体的な仕事内容と担当範囲

「診療補助」「受付全般」といった短い表現だけでは、経験のない求職者が仕事内容を想像しにくい場合があります。

厚生労働省の手引書でも、看護補助者の仕事をベッドメイキング、配膳、移動の補助などに分ける例があります。自院でも、実際に任せる仕事を職種ごとに示します。

医療資格が必要な業務と、資格がなくても担当できる業務は混同しません。業務範囲は院内の責任者が確認してください。

3. 1日の流れと勤務時間

始業から終業までの流れを示します。出勤、準備、診療時間、休憩、片付けなどを、実際の運用に沿って並べます。

曜日によって診療時間や業務が変わる場合は、その違いも書きます。残業や休憩については、良く見せるために曖昧にせず、確認できる範囲で実態に沿って記載します。

4. 一緒に働く職種と連携方法

人数を公開できる場合は、職種ごとの体制を示します。人数を出せない場合も、困ったときに誰へ相談するのか、どの職種と連携するのかは説明できます。

実在しない「風通しの良い職場」という表現を足すのではなく、朝礼、引き継ぎ、相談の流れなど、実際に行っていることを書きます。

5. 教育と相談の体制

経験者を募集する場合も、自院のルールや使うシステムは説明が必要です。入職初日、最初の1週間、その後の確認方法を整理します。

教育担当者、質問先、院内マニュアルの有無を伝えると、入職後の見通しが立ちやすくなります。教育体制をこれから整える場合は、できているように見せず、現状と今後の予定を分けて書きます。

6. 労働条件と変更の範囲

雇用形態、契約期間、勤務時間、休憩、休日、賃金、試用期間などを確認します。2024年4月から追加された、業務と就業場所の変更範囲、有期契約の更新基準も確認対象です。

採用ページと求人媒体で条件が食い違わないよう、更新担当者と確認日を決めます。条件が変わったときは、一方だけを直して終わらせません。

7. 見学・応募・選考の流れ

応募前の見学に対応するか、応募には何が必要か、面接は何回か、連絡方法は何かを示します。

見学を受け付ける場合は、診療や患者さまのプライバシーを守れる時間帯と範囲を院内で決めます。求職者が応募前に知りたいことと、院内で見せられる範囲の両方を整理します。

写真や動画は、職場を良く見せるためだけに使わない

写真や動画は、文章で伝わりにくい仕事の流れや設備を補うために使います。実際の受付、スタッフルーム、使用する設備などを見せると、働く場面が伝わりやすくなります。

厚生労働省の手引書でも、写真や動画、職員へのインタビュー、1日の流れを使う方法が紹介されています。

撮影では、患者さまの顔、氏名、診療情報、画面、書類が写り込まないようにします。職員を掲載する場合も、使用する媒体と期間を伝え、本人の許可を確認します。

素材が足りないからといって、実際の職場と異なる写真で雰囲気をつくると、入職後の印象と離れる可能性があります。写真や動画は飾りではなく、仕事を具体的に伝える資料として考えます。

RYOZENPROは、採用をホームページ、文章、動画から切り離さず、求職者に何を伝える必要があるかを見て手段を選びます。クリニックにおける医療動画の使いどころでも、採用動画を含む活用場面を整理しています。

求人媒体から応募までの導線を短くする

採用ページをつくっても、求職者がたどり着けなければ読まれません。募集職種に合わせて、ハローワーク、求人媒体、自院サイト、SNS、紹介などから接点を選びます。

すべての媒体を使う必要はありません。誰へ届けたいかを決め、求人情報から採用ページへ進めるリンクを設けます。紙の案内には二次元コードも使えます。

採用ページはスマートフォンでも確認します。見学や応募方法が見つかるか、入力項目が多すぎないか、送信後の連絡方法が分かるかを見ます。

応募フォームでは、採用判断に必要な情報だけを受け取ります。個人情報の利用目的、保管方法、閲覧できる担当者も院内で決めてください。

公開後は、質問や辞退理由をもとに更新する

採用ページは、公開して終わりではありません。問い合わせや面接で同じ質問を受けたら、ページの説明が足りない可能性があります。

まず、次の内容を記録します。

  • どの職種への問い合わせか
  • どのページから応募されたか
  • 応募前や面接で多かった質問
  • 選考辞退や内定辞退の理由として、本人から確認できたこと
  • 入職後に「事前に知りたかった」と言われたこと

個人が特定できる形で共有せず、採用情報を直す材料にします。応募が少ないときも、文章だけでなく、募集条件、届ける相手、媒体、応募導線を順に確認します。

厚生労働省の「いきいき働く医療機関サポートWeb」でも、勤務環境を継続的に改善する考え方や事例が紹介されています。採用情報は、実際の働き方と切り離せません。

私たちが大事にしているのも、手段を先に売るのではなく、現場を確認することです。RYOZENPROでは、保険医協会や千葉県の個人病院への支援経験を踏まえ、クリニックのWeb、採用、動画、業務改善を一つの現場として整理しています。

採用ページをつくれば、採用や定着が保証されるわけではありません。それでも、求職者が応募前に判断できる情報をそろえ、実際の職場と一致させることは、今から始められます。

採用情報のどこから見直すべきか決められない場合は、現在の求人票やホームページを見ながら整理できます。サービスを決める前の段階でも、medi@ryozenpro.com へ気軽にご相談ください。

参考資料